- 2023-7-3
- ラーメン屋のお金事情, ラーメン屋開業について, 飲食店経営について

どれだけ美味しいメニューを作り、居心地のいいお店を作っても物件が悪ければ繁盛が難しいです。本記事では、あなたのお店を成功に導く物件選び方や探し方、取得の方法を解説します。
目次
初めに
開業するためには、物件が必要不可欠です。しかし、賃貸契約方法から立地、広さ、店舗タイプ…、その中身は奥深く、複雑です。その中でしかし良い物件で開業することができれば
お店は成功に大きく近づきます。
今回は飲食店で大切な物件について説明します。
物件選び
飲食店が繁盛するか否かを決める大きなポイントは、立地です。人が多く集まり、競合店が少ない場所にお店を構えれば、繁盛する可能性が高いです。
まれに、味がまずくても繁盛している店があります。その理由は、「良い物件」の要素が多いことが挙げられます。つまり、立地と売り上げはかなり密接な関係にあるのです。
出店地域を確定させる
地域を限定し、出店地域を確定しましょう。「長年住み慣れている場所がいい!」
「地域を熟知しているからここがいい!」という選び方では、繁盛するお店にはなりません。繁盛する以下の条件の地域を選ぶ事を最優先にしましょう。
近隣に会社が多くある
繁華街が近い
大学がある
交通量が多い
駅が近い
マンションがある
人が多く集まる場所である
商圏内に同業競合店が少ない場所である
店舗タイプを確定させる
店舗タイプは大きくわけて3種類です。
店舗タイプ 繁華街のビルイン ロードサイド 集合施設内
物件タイプ 繁華街の駐車場を持たない物件 郊外の道路沿いにある物件 集合施設内にある物件
ターゲット ・繁華街を利用している方
・近くに住んでいる方
・近くに勤務/通学している方 ・近くの道路を利用している方
・近くに住んでいる方
・近くに勤務している方 ・施設を利用する方
・近くに住んでいる方
・近くに通勤通学している方
商圏 徒歩圏内 車で15分程度 関係ない
メリット 集客効果が高い 賃料は安めで競合店が少ない 施設利用者数が多く
競合店が無い施設であればいい
デメリット ・競合店が多い
・賃料が高く物件が少ない ・駐車場が必須
・売上の平日休日の差が大きい ―
出店候補地域が都市部であれば、ビルインタイプ、出店候補地域が郊外の場合はロードサイドタイプがおすすめです。以下の表は好立地条件です。
店舗タイプ 繁華街のビルイン ロードサイド
好立地条件 ・歩道からの店舗、看板の視認性が良い
※邪魔な木等がない
・1階の店舗
・間口が広く、四角い店舗
・歩行者数が多い
・駅から近い
※徒歩3分以内
・横断歩道が近い ・客席の2/3台以上の駐車スペースがある
・道路からの店舗、看板の視認性が良い
・自動車交通量が多い
・逆車線から駐車場へ入れる
・Uターンできる場所が近くにある
・川や電車、高速道路で遮られていない
物件に関する知識
物件探しでは、家賃・物件取得費・契約形態・スケルトン物件と居抜き物件・店舗の設備関係の知識を身につける必要があります。
家賃
利益が出るベストな家賃は、月間売り上げの7%以下です。家賃は坪単価×坪数で決まります。坪数が多いと席数が多くなりますが、その分家賃が高くなります。人件費も高くなるため、利益が出づらいお店となる可能性があります。売上は営業時間、営業日数で変わってくるため、初めに設定するようにし、最初のお店は15席(15坪程度)・坪単価15,000円以下の物件を選ぶようにしましょう。
物件取得費
物件を取得する際にかかる費用にはいくつか種類があります。
敷金または保証金
礼金
仲介手数料
家賃と他費用は、家賃の何か月分と設定されている事が多いため、家賃が低ければ物件取得費も低くなります。事前に考えておきましょう。
契約形態
物件契約には、「普通借家契約」と「定期借家契約」の2種類の契約があります。
普通借家契約は借主が望めば契約更新できます。予告期間を満了すれば、中途解約費も一般的にはかかりません。つまり、普通借家は借主が優位な立場ということになります。
定期借家契約は、契約期間終了で原則退去しなければなりません。中途解約は違約金がかかってしまうため、貸主が優位な契約だと言えます。
この2つの特徴からわかるように、リスクが大きい定期借家契約物件はおすすめしません。もし商業施設内や一等地の物件等を検討しており、どうしても定期借家物件で開業したい場合は投資回収できる契約期間が有り違約金が少ない等負担の少ない契約をすることが重要です。
スケルトン物件と居抜き物件
物件選びでは、スケルトン物件と居抜き物件の違いを確認しなければなりません。確認しなければ、開業費に大きな差が生まれてしまいます。
物件タイプ スケルトン物件 居抜き物件
内外装・設備・備品 なし あり
費用 工事費や設備、厨房機器費等 居抜き費(造作譲渡料)
退去時の対応 スケルトンに戻す
※契約内容による 居抜きのままでもよい場合がある※契約内容による
これらの特徴から、居抜き店舗の方が安価で開業できるのでおすすめしています。500万円以上の差が出ることもある為しっかりと検討しましょう。
しかし、居抜き物件を借りる際には注意する点が3つあります。
何が造作譲渡品かを確認する
造作譲渡品が壊れていないか、設備が稼働するか確認する
リース契約の有無を確認する
※造作譲渡=居抜き物件に残されている内装、厨房設備、空調設備等を新たな借主が買い取ること
3つを確認しないと、厨房や設備が壊れていても修復できなかったり、トラブルが発生したりする可能性があります。
店舗の設備関係
設備を調べないと取り返しのつかないことになる可能性もあるため、内見の際に必ず設備を確認するようにしましょう。
まず確認するのが、電気やガス容量、上下水道設備などのインフラ設備。容量変更や、下水設備新設には多くの工事費がかかります。良い物件があったとしても即決せず、内装業者・厨房機器メーカーを同行させ調査してもらいましょう。
次に確認するのは、電気・ガス・水道の契約先や単価です。電気・ガス・水道の契約先が家主の場合、金額を上乗せしている可能性があります。必要分より多く費用がかかってしまえば、利益が減ってしまいます。「直接契約にしたい」「価格を下げてほしい」等、家主に交渉するようにしましょう。
最後に確認するのが、グリスト・ダクト・防水(居抜きの場合)です。これらを設置していない元軽飲食物件や設備が古くなっている店舗では、新規の設置で高額な費用がかかってしまいます。前テナントの把握、そして設備の把握を必ず行いましょう。
出店条件を確定させる
家賃・坪数・席数・形・階層・駐車場数・契約形態等の出店条件を確定しましょう。確定しなければ、出店費用がどれほどかかるか試算できません。地域、店舗タイプに合った条件を
明確にイメージしましょう。
物件探し
物件探しをする際は、不動産屋用と家主用の資料を作成しましょう。
不動産屋に資料が必要な理由は、具体的な条件の物件を探しているかを示すことでいい情報をもらえるからです。また、資料の出来によって不動産屋が大家に紹介してくれることもあります。
家主に資料が必要な理由は、大家は個人よりも法人を選ぶことが多いからです。大家からの信用度を高めるために、資料を作成しましょう。
資料の具体的内容は以下の通りです。不動産屋用では具体的な希望を伝え、家主用では熱意が伝わるように作成しましょう。
不動産屋用 家主用
内容 ・坪数
・形
・間口
・地域
・階層
・賃料
・敷金(保証金)
・駐車場数
・駅徒歩何分か
など ・経歴
・学歴
・職歴
・アピールポイント
・事業紹介
・事業計画
・展望
・思い
など
ネットだけの検索はNG
物件探しでは、出店候補地の不動産屋を回ることが大切です。なぜなら、ネットの物件は余りものであったり、賃料の高い物件であったりすることがほとんどだからです。いい物件の情報は地域の不動産屋が持っています。そのため、地域の不動産屋といかに関係性を作るかが重要となります。丁重な態度で接し、応援してもらえるような環境を作る事が重要です。
不動産屋の手数料の仕組み
仲介業者は他の不動産屋に情報を公開しないで、自社で借主を確保したいと考えています。なぜなら、仲介業者が直接借りたい人を大家さんに紹介する場合は借主と大家から仲介手数料をもらえますが、仲介業者が他の不動産屋さんに借りたい人を紹介してもらう場合は大家からしか仲介手数料がもらえないからです。
良い物件を獲得するには
良い物件を獲得するには、出店候補地を知る事が必要不可欠です。
地域の特性や競合店を理解する
不動産屋に出回る前の物件情報を獲得する
という2つを達成できれば、良い物件を獲得できます。良い物件を獲得するために、不振店に入り退店の予定が無いかヒアリングしたり、数日営業していないお店の近隣店舗にヒアリングしたりして、管理会社や大家さんの連絡先を入手し連絡しましょう。
物件探しまとめ
1. 出店候補地をくまなく歩きまわり情報が公開される前の情報を入手する
2. 出店候補地の不動産屋を回り情報を入手する
3. ネットで公開している物件情報サイトに登録し情報を入手する
この3つを行い、希望の物件を必ず契約できるように全力を尽くしましょう。
申込
物件探しができたら、いよいよ申込です。気になる物件があったら、他の方に物件が決まらないよう、すぐに内見の申込をしましょう。内見時に行いたいことは次の3つです。
内装業者に同行してもらい、必要設備を入れることが可能か確認してもらう
内装業者に概算見積もりを作成してもらい、予算内に収まるか確認する
手続きしたい場合は内見させてくれた不動産屋に申込する
もし申込多数の物件であれば、貸し出したい方を聞きだしたり、条件に歩み寄ったり、好条件を提示したりして交渉しましょう。
賃貸借契約書を確認
賃貸借契約書を確認する前に、契約前に雛形をもらって読み込みましょう。もし変更したい点があれば不動産屋さんに伝え、変更依頼をかけましょう。
確認事項 ポイント
普通借家契約か定期借家契約か ―
契約期間 契約期間は更新時に更新料を取る契約が大半であるため、契約年数は長くしてもらった方が良い
更新料 契約更新料は、賃料の1月分が通常
解約時の違約金 ないことに越したことはない
解約宣告期間 解約宣告期間は短いほど良い
サブスクリース物件かどうか デメリットが多くおすすめしない
※サブスクリース物件=家主から物件を借りた会社が又貸しをしている物件
賃貸借契約書を締結
締結は以下のステップで行います。
1. 重要事項説明書と契約書の読み合わせ
2. 問題なければ署名と捺印
3. 契約締結
※費用の支払い方法は、振込・現金
必要書類
必要書類は法人・個人によって異なります。
法人 個人
必要書類 ・登記簿謄本
・印鑑証明
・連帯保証人書類(住民票・印鑑証明書・身分証明書・収入証明)
・連帯保証人承諾書 ・契約者書類(住民票・印鑑証明書・身分証明書・収入証明)
・連帯保証人分の同様書類
・連帯保証人承諾書
物件取得まとめ
1. 家賃の目安は月売上の7%以下
2. 初めての飲食店の場合、15席以下で15坪程度、坪単価15,000円以下、家賃25万円以下の物件がおすすめ
3. 物件取得費は家賃6か月分以下が理想
4. 契約更新が出来る「普通借家契約」を選ぶ
5. 「人が集まる」「交通量が多い」「同業競合店が少ない」場所を選ぶ
6. 都市部なら「ビルインタイプ」、郊外なら「ロードサイドタイプ」を選ぶ
7. 正方形や長方形の四角形で、使用面積の多い物件を選ぶ
8. 間口は広い方がいい
9. 店舗は1階がおすすめ
10. ロードサイドタイプの駐車場は席数の2/3以上有ることが望ましい
11. 物件探しは出店候補地をくまなく毎日歩いてその土地を熟知し、退店の予定が無いかヒアリングする
12. 近隣店にヒアリングし、管理会社や大家さんの連絡先を入手する
13. 不動産屋用と大家用の資料を作成する
14. ネットで物件紹介会社に登録して毎日物件情報を確認する
15. 良い物件を見つけたらすぐ内見したいと伝える
16. 内見時は内装業者に同行してもらい、必要な設備を入れることが可能か調べてもらう
17. 内装業者に簡易設計、概算見積もりを作成してもらい、予算内に収まるか確認する
18. 契約の申し出をして契約日を確定させる
19. 契約書の雛形をもらい内容を確認する
20. 変更したい点があれば、不動産屋さんに変更依頼をする
まとめ
物件取得がいかに重要かお分かりいただけましたでしょうか。良い物件が契約できれば、必ずお店は成功・繁盛に近づきます。
飲食店の物件探しや物件のノウハウについてご興味がありましたら、ウルトラフーズにぜひご相談ください。